まずは正常心臓の基礎知識からです。心臓は上下左右の計4つの部屋からなります(右図参照)。心臓が動くためには、まず心臓の正規の司令塔(右房と上大静脈の境目にある洞結節★ )から『心臓動け』の司令である電気信号を規則正しく(安静時には大体一分間に60-80回程度)発生させることから始まります。その電気刺激が所定の電線を使って、まずは心臓の上の部屋(心房)の隅々に電気が流れ、心房を1回動かします。その後、心房から心室へは一本しかない特殊な電気の通り道(房室結節★ )を通って、遅延なく電気刺激が伝わっていきます。心室全体に流れた電気は1回心室を動かして消えます。その後は同様の動きを繰り返していきます。
歩いたり、走ったりすると司令塔からの電気刺激の発生頻度が適切に増加することによって、心拍数が徐々に増加し、心臓から送り出される血液量を適切に増加させ、それによって我々は無理をしない限り息切れなく日常生活を送れるわけです。
動悸とは心臓の拍動を“自分”で“ドキドキ”感じられる状態を指します。つまり自覚症状で、心拍数にかかわらず生じるものです。同じような言葉に“心悸亢進(しんきこうしん)”があります。これは心臓の拍動を自覚し動悸を感じる状態で、特に心臓の拍動が異常に強く速くなっている場合に用いられます。動悸の原因のうち40%程度が不整脈といわれ、30%弱が気持ちの問題、他には貧血やホルモン異常、薬物等が考えられます。
不整脈とは『正規の司令塔が正規の伝導システムによって「心臓動け」の指令を伝達し、適切に調整する』ことができない状態を指します。大別すると以下3つの可能性が考えられます。(ちなみに司令塔は自分よりも高頻度に出る電気の刺激によって、お休みしてしまう性質があります。)
心房は前回お話した通り心臓の上の部分を指し、通常は心臓の司令塔から出る規則正しい電気信号によってポンプ運動をしています。心房細動では心房全体から不規則な電気信号が頻繁に出続けることによって、心房全体が痙攣して正常なポンプ運動ができなくなります。心房が痙攣すると、心房内に血液の淀みができて血液の塊(血栓)ができやすくなります。ここでできた血栓が何かの拍子ではがれて体全体に流れ、例えば脳の血管や心臓の血管に詰まってしまうと、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こします。
正常な心臓では、心房を動かした電気信号がすべて心室に流れて心室を動かします。心房を痙攣させるような電気信号がすべて心室に伝わってしまうと、心室も痙攣した状態になって命にかかわります。心房細動の場合、心房から心室に電気を流す経路の関所である房室結節が電気信号の伝わる頻度を調整しているのですが、適切に頻度を調整できない場合は運動能力の低下や心不全を起こしやすくなります。
心房細動は大別すると次の3つに分けられます。①自然に出たり消えたりする「発作性」、②何らかの治療をしないと治まらない「持続性」、③治療をしても戻らない「慢性」です。このように、心房細動は徐々に進行していきます。
心房細動を含め不整脈の診断は「現行犯逮捕!」が原則で、不整脈が起きているときの心電図が捉えられないと診断できません。そのため、発作の頻度なども考慮し、それぞれのケースに応じた計測器でその発作時の心電図をとらえる必要があります。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
---|---|---|---|---|---|---|
午前 | 飯田 啓太 | 不整脈担当医 | 青沼 和隆 | 飯田 啓太 | ||
※ 受付:8:30~11:00まで
下記チェックシ-トを印刷してご持参下さい。
不整脈簡易チェックシ-ト(PDFファイル:別ウィンドウが開きます)
下記のような患者様でお困りの場合は是非当院不整脈センタ-までご紹介下さい。
ご紹介・ご予約は当院地域医療支援センタ-まで